拳足鍛錬や部位鍛錬では正拳の拳頭だけでなく、手刀や裏拳も鍛錬しています。
今回は裏拳鍛錬の必要性について記述したいと思います。
当会のⅠ型にも裏拳打ちが含まれていますが、裏拳打ちは相手の上段(顔面)を打つ際によく使う技です。
グローブをはめた格闘技でも、回転してからのバックハンドブローなどがよく知られています。
相手の上段を打っても、歯や頬骨、その他の出っ張りや硬い部分が多く、打った裏拳を痛める事になります。
裏拳は中手骨という細い骨が4本走っており、筋肉や周辺組織も薄く、もともと硬いモノを叩ける構造になっていません。
まずはそんな弱い部位を強くするのが、鍛錬の一般的な目的となります。
しかしながらまだまだあります。。ここからが重要なんです!笑
裏拳打ちではなく正拳で硬く頑丈なモノを叩いた際に、拳頭は耐えれても、その衝撃(介達外力)で中手骨が折れる
場合があります。
先端を金属などで強化した長い棒で、全力で壁に突き込めば棒が折れちゃいますよね、、同じ原理です。
過去にも試し割でブロックを打って中手骨を骨折した有名な空手の先生を知っています。
裏拳の鍛錬はそんな弱い中手骨を強くし、突きの威力に負けない拳を作る事に繋がるんです。
そして、裏拳の鍛錬は手の甲の組織全体がぶ厚くなり、手(拳)が重く頑丈になります。
物理的に<衝撃力=重さ×速さ×硬さ> で表しますので、重い拳を早く当てる事が突きの強さに繋がります。
例えが極端ではありますが、軽いピンポン玉がいくら高速で当たっても、衝撃はあまりありません。
重い鉄球が高速で当たったら、、、どれだけの衝撃になるかは想像できますね。
昔の喧嘩の場面で石ころを握って相手を殴り倒す、なんてシーンもありましたが、あれは握りを強くするよりも
拳の重さを重し振り回す事で、相手に与える衝撃を強くしていたんです。
昔の荒くれ者達はそんな事を経験値でわかっていたんでしょうね~恐ろしいものです汗
最後に著名な空手の先生の話になりますが・・・
拳を握る、という動作は手~前腕~上腕の屈筋を緊張させます。
直線的な突きを出す際に、屈筋の緊張はブレーキ(邪魔)になってしまいます。
当会でも基本動作や型では引手や腰拳は握りますが、部位鍛錬の際には「脱力」した状態から、
当たる瞬間のみ握り込むように指導しています。
わかりやすく言うと、構えた時には拳は握らない、となります。
ですが、著名な先生曰く「速く当てるには、当てる時にも握らない」のが究極の突きなのだそうです。
握り込まずとも<重さ×速さ×硬さ>を体現する、そのための拳の鍛錬であると。。。
ボクシングのバンテージを硬くぶ厚く巻いた状態を、生身の拳で作り上げるという意味だと推察します。
脱力させた上肢なら、速く、そしてあと2~3cmは射手範囲が広がる事でしょう。
そのためにも拳頭から裏拳まで徹底的に鍛える、、奥が深すぎます~汗
当会の稽古生達にも上記を理解した上で部位鍛錬を行って欲しいと思います。
センセイもまだまだ叩き込まないと、その域にはまだまだ到達出来ません。
少しずつでも高みを目指して、皆さんに有意義な指導が出来るよう今後も頑張りますね!
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しおあき (月曜日, 18 12月 2023 07:36)
センセイ、改めて勉強になりました!
何度か伺っていたお話ですが、私自身まだまだだな、と痛感しています。正拳をようやく突き込めるようになったと思っていましたが、全然ですね…。中手骨が何ともなっていないので逆に突き込めてない、という事も理解しました。今後は裏拳にも注力し、分厚い拳を目指したいと思います!ただし10年以上は掛かると思いますが(泣)
マサマン (火曜日, 19 12月 2023 08:36)
しおあきさん、ありがとうございます。
目的と意識を持っての部位鍛練は大切ですから、今後も頑張って下さい!
拳が固いだけのオヤジにならないように、筋力も身体の使い方も併せて稽古しましょうね~ワタシも頑張ります!!